高校生のバイトも年末調整が必要!書き方が分からない方へ詳しく説明します

高校生バイト

高校生がアルバイトをすると、所得税という制度と向き合うことになります。そして年末に近づくと、会社から年末調整の書類を提出するように促され「年末調整」「書き方」と調べるかもしれません。初めてですから、わからなくても当然です。

年末調整について分からない場合は、同僚や上司などに聞くと一番手っ取り早いのですが、聞きにくい場合もありますよね。一度聞くと借りが出来てしまい、バイトで相談相手から嫌なことまで無理に聞く羽目になってしまいやすくなるので、自己解決したいものです。

さらに年末調整といわれて、用紙を貰ったのはいいけど、内容を見てみると「かなり複雑」のようなイメージを持っている方も多いと思います。提出用紙にはかなり多くの項目が用意されていて、とても面倒に感じて提出をしたくない、と思ってしまうでしょう。

この記事では、アルバイト学生が年末調整をする必要があるの?そもそも年末調整って何?という声にこたえ、詳しく説明していきます。これを読めば、年末調整のしくみや書き方を理解できますので、参考にしてくださいね。

そもそも年末調整とは何なのか?

年末調整と聞くと難しい感じがしますが、そんなことはなく理解すればすごく簡単な意味です。年末調整とはその年に納める所得税を年末に改めて計算し直して、正しい金額に調整することです。ココで「なぜ計算し直すの?」と思う人は多いでしょう。

実はバイトを始めると「所得税」という税金が毎月給料日ごとに引かれています。「所得税」とは、勤務先から受け取る給料やボーナスにかかる税金のことで、給料明細などを確認してもらうと分かると思いますが、所得税がいくらか記載されていると思います。

給料から毎月税金が引かれることを源泉徴収と言いますが、この源泉徴収は「だいたいの金額」として毎月の給料から引かれるだけであって、正確な税金を毎月引かれる訳ではないのです。そこで、正確な金額にする為に、源泉徴収した所得税が多く引かれすぎていないかを年末に計算し直すことを年末調整といいます。

多すぎた場合にはこの手続きをすることで所得税が戻ってきますし、まれですが、少ない場合には追加で納税することもあります。これらは勤めている会社があなたの代わりに行ってくれるので、面倒な手続きはほとんどありません。

年末調整をするとお金が戻ってくる?

基本的にバイトをしている方と考えて年末調整をすると、多くの場合は収めすぎていた税金が戻ってきますが、ある程度の儲けが無い限り戻ってきても僅かな金額しか戻ってこないケースが多いです。1万や2万などほとんどのケースで戻ってきません。

一般的には年間給与が103万以下であれば、所得の控除によりその年に納めてきた所得税は全額戻ってきます。また、勤労学生の場合には、130万円以下までは所得税がかかりません。これについては、後で詳しく述べることとします。

年収103万円以下でも年末調整をする理由

年収103万円以下なら所得税はかからないので、年末調整は必要ないんじゃ…と思いますよね。誰だってそう思うでしょう。しかし年間の所得が103万円以下でも年末調整は必要です。最終的な納税金額は、年末にならないと分かりません。

12月の給与が決まり年間所得が確定すると、納税金額の再計算が可能になり、正しい金額に調整することができます。本来年収103万円以下の場合には、所得税を納める必要はありませんので、もし源泉徴収で支払っていたとするとその年の1月~12月に支払った税金は、年末調整をすることで全額戻ってきます。

また103万円以下でも年末調整はしなくてはいけない理由として、年末調整は会社の義務となっているので、必ずしなくてはいけないのです。また提出しなかった場合は、ご自身で確定申告をしないといけなくなるので、提出しないということはとても厄介なことでもあります。

また提出を忘れてご自身で確定申告をする場合、年収103万円以下なら確定申告をする必要はないので、まだましだとは思います。

年末調整と確定申告はどう違うのか?

年末調整と確定申告の違いは、納税に関すること、税金の払い過ぎや不足がないかの手続きを誰が行うかということで、とても似ています。年末調整は勤務している会社が社員やアルバイターの代わりにこの作業を行ってくれます。

一方、確定申告は自分で税務署に書類を提出する必要があります。どちらも1年間の所得税を再計算して、正しい金額になおすというという基本的な考え方は同じと思って良いでしょう。よって、年末調整をしれくれる方が非常に楽なのです。

ただし、年末調整をするには一定の条件があります。次の項目で詳しくみていきましょう。

年末調整の対象となる人

年末調整の対象となるのは、次の条件にすべて該当する人です。

12月時点でバイト先に勤務している

年末調整は会社が代理で行ってくれるものなので、勤務先がないとできません。複数のアルバイトを掛け持ちしている方については後述していますので、参考にしてください。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を勤務先に提出済みの人

バイトを始めてから1回目の給料が支給されるまでの間に、会社に提出する書類です。すでに提出している人も多いでしょう。

源泉徴収されている人

会社が毎月の給料やボーナスからあらかじめ所得税が引かれている方は対象です。確認してみましょう。

災害減免法による減免免除を受けていない人

災害によって大きな被害を受け、所得税が軽減または減免される制度を利用している人は対象となりません。

アルバイトを変えた場合も対象

年末調整は12月に勤務中の会社がやってくれます。アルバイトが変わった場合は、以前の職場の分も一緒に手続きをお願いするとよいでしょう。税金をいくら支払っていたかを確認するために、前の勤務先から受け取った源泉徴収票を、新しい勤務先に渡してください。

源泉徴収票は、退職してから1ヶ月以内に発行されることになっているので、郵送で送られているかもしれません。もし紛失してしまった場合には、以前の勤務先に連絡して再発行をお願いしましょう。それを今の勤務先に提出すれば、支払ってきた所得税の記録を引き継いで、まとめて年末調整をしてくれます。

バイトを掛け持ちしている場合は?

アルバイトをかけもちでしている場合でも、年末調整はひとつの会社でしかできません。一番給与を多く受け取っている職場にお願いするのが良いでしょう。他の職場の所得に関しては、自分で確定申告をします。

可能であれば、それぞれの職場で発行される源泉徴収票を、ひとつの会社に提出しまとめて年末調整をお願いすることもできます。しかしながら、どの会社も社員やアルバイターの12月の給与が確定したら、すぐに年末調整の手続きをスタートするので、他の会社の源泉徴収票の発行を待ってもらうのは困難といえるでしょう。

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確定申告が必要な方

今まで解説してきた通り、アルバイトをして給与を受け取っている人は、その勤務先が年末調整をしてくれます。ただし、年末調整の対象とならない場合がありますので注意してください。以下のような人は確定申告が必要です。

フリーランス等の業務委託契約で収入を得ている人

副業などの儲けが年間20万を超える人

給与所得以外に雑所得など他の所得が20万円を超える場合には、確定申告する義務があります。例えばクラウドソーシングやフードデリバリーなどの所得はここに該当します。ここでいう所得とは、得た収入から経費を差し引いた金額のことです。

例えば、クラウドソーシングで使用するソフトを1万円で購入したら、この1万円は経費として収入から差し引くことができます(収入ー経費=所得)。所得の金額を計算し、必要であれば確定申告をしましょう。

年の途中で退職してしまった人

年末調整は12月に勤務先の会社で行うものなので、年末前に退職している場合にはできません。前職場で毎月給与から引かれていた所得税(源泉徴収)については、確定申告をしましょう。支払いすぎた税金が戻ってきます。

もちろん年103万円以下の所得であれば全額返金されます。

年の途中で入社し、前の勤務先の源泉徴収票を提出できない人

バイトを複数掛け持ちしていて、まとめて年末調整をするのが難しい人

上述しましたが、アルバイトをいくつも掛け持ちしている場合も、年末調整はひとつの会社でしかできません。他の職場の所得に関しては、自分で確定申告をする必要があります。ただ、まとめて年末調整してくれるようなありがたい勤務先も中にはあります。

すべての所得の源泉徴収票を渡してお願いしましょう。その場合には、12月31日までに受け取った所得が反映されているか、必ずチェックしてください。他にも、以下のような場合は年末調整の対象ではありません。

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  • 害によって大きな被害を受け、所得税が軽減または減免される制度を利用している人
  • 年収2,000万円以上の人

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(参考文献:年末調整の対象外・確定申告の対象となる従業員について

学生は年収130万円まで所得税がかからない制度がある

良く年間103万円という数字を見る方は多いと思いますが、実は学生の場合ですと年間130万円まで所得税がかからない制度があります。勤労学生控除と呼ばれている制度ですが、働いている学生のための制度となっており学生にとってはありがたい制度です。

普通、年間103万円を超えて給与を受け取ると、所得税を納める義務がありますが、勤労学生控除を利用できれば、所得税非課税のままで130万円まで働けるようになります。この控除を受けるための条件がありますので、注意しましょう。

以下の3項目すべてに当てはまる人は、勤労学生控除が適用されるので申請すれば控除を受けることが可能です。

アルバイトなど、働いて給与を受け取っていること

所得が130万以下で、そのうち給与所得以外の所得が10万円以下であること。

所得金額と所得の内訳について確認しましょう。130万円に所得が収まっていれば、この対象となります。ただし、130万円のうち10万円以上が給与ではない所得(例えばギャンブルやフリマで得た収入など)だった場合には、この条件に該当しないということになります。

特定の学校の学生であること。

学校教育法に規定する高校や大学、専門学校であれば該当します。通っている学校が特定の学校かどうかわからない場合には、学校の窓口で聞いてみるといいですが、ほとんどの学校が対象となっているのでほとんど心配はないでしょう。

[alert title=”親の扶養から外れてしまうので注意”]子どもの年収が103万を超えてしまうと、親は扶養控除を受けることができなくなります。親は子どもを養っているという理由で、扶養控除という制度を利用できるのですが、
子どもが勤労学生控除を受け130万円まで働くようになると、一方で親の方が控除を利用できないということになります。つまり「勤労学生としての控除は利用するが、親は扶養控除を受けられなくなる。」
または、「子どもの年収は103万円までに抑え勤労学生控除は利用せず、親は扶養控除を受ける。」を選択する必要があります。どちらが家族のライフスタイルにあっているのかを、話し合って決めましょう。[/alert]

年末調整で申告書の書き方

年末調整に必要な書類を書いていきましょう。恐らくバイトをしている多くの方が「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を貰っていると思います。もし手元にない場合には、担当者に聞いて必ず受け取るようにしましょう。

 

それでは、書き方を解説していきます。

個人情報の記入

全ての人が記載するのは、「あなたの氏名」「フリガナ」「住所」「配偶者の有無」「生年月日」「世帯主の氏名」「あなたとの続柄」です。用紙の「あなたの個人番号」というのはマイナンバーの記入欄です。この部分については、勤務先によって指示が異なるので、書くのかどうか確認しましょう。

書き方はすごく簡単だと思いますが「あなたとの続柄」という欄を書くのが迷う人も多いと思います。この「あなたとの続柄」というのは、申告書を書く方から見た世帯主の関係となりますので、世帯主は親の場合は「父」「母」などこのように記入します。

ちなみに世帯主が自分だった場合は「本人」と記入します。「配偶者の有無」については、配偶者というのは嫁さんや旦那がいるかどうか?ということですので、ほとんどの学生さんは結婚をしていないと思いますので「無」にまるを打つといいでしょう。

これでほとんどの方は作業が終了です。しかし勤労学生の申請をする方は、以下の項目も記入することになります。

勤労学生控除の書き方

勤労学生控除の場合は、「C」の欄「勤労学生」にチェックを入れます。右の空欄には「給与所得」「学校名」「入学日」を書きます。ここで注意したいのは給与所得を書く時です。バイトの年収を書くのではなく、実際のその年の年収から給与所得控除を差し引いた金額を記載します。

給与所得控除というのは収入によって金額が変わってきますので、以下の画像のような計算方法となります。バイトをしている方はそこまで収入は高くないと思いますので、55万円を差し引いた金額を記載します。

もちろん、年収が多くなれば55万円という数字ではないので、一応注意しておくといいでしょう。なお、会社で年末調整を行う場合には、学生証などの添付書類は必要ありません。また人によっては、以下の書類を渡される場合もあります。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書という書類になりますが、一見すごく複雑そうで面倒…と思ってしまうかもしれません。しかしこの書類の書き方も全く難しくありませんので、解説します。

(出典:r4bun_06.pdf (nta.go.jp)

まず記入する欄ですが、基本的に給与所得者の基礎控除申告書の欄のみを書くだけですので、結婚していない方は給与所得者の配偶者控除等申告書を書かなくても大丈夫ですし、給与の収入が850万円以下の場合は所得金額調整控除申告書の欄も記入の必要はありません。

まずは個人情報を入力します。

続いて給与所得者の基礎控除申告書の欄を記入します。収入金額の欄に年収(1月~12月)を記入します。この書類を提出する場合はほとんどが12月分の給料を貰っていない場合が多く、はっきりとした金額が分からないと思いますが、ここは概算で構いませんので、大体の金額を入力します。

例えば、年収が約100万円程度でしたら、以下のように記入します。

次は所得金額の欄を記入します。この欄は給与所得控除を差し引いた金額となるので、上述の勤労学生控除で紹介した給与所得の書き方と同じになります。約100万円の年収の場合だと、控除額は55万円になるので、記入する場合は45万円となります。

続いて「給与所得以外の所得の合計」を記入します。学生さんのバイトでしたらほとんどの方が給与所得のみと思いますので、給与所得のみならここは「0」と記入しましょう。

但し、雑所得など給与所得以外に収入がある方はこの欄も記入します。その場合はその所得の合計を記入することになります。10万円あるなら「100,000」と記入する感じですね。そして次は「控除額の計算」の欄を記入します。

まず今回の例では900万円以下に該当しますので、判定の所にある900万円以下にチェックをしましょう。続いて「区分」にAと記入します。Aというのは900万円以下ならAとなり、900万1円~950万円までの見積額の場合はBと記入します。(書類に書いているので分かると思います)

続いて基礎控除の額に「480,000」と記入します。A~Cまでが48万円と記載しているのですぐに分かると思います。所得合計の見積額が2400万円以下なら48万円なので、ほとんどの方が48万円と記入するでしょう。

もちろんそれ以外の金額の人は32万円or16万円のどちらかになりますので、見積額に応じた金額を記入しましょう。以上で終了です。

高校生のバイトも年末調整が必要のまとめ

年末調整は会社が行ってくれるので、忘れずに書類を書いて提出しましょう。働く学生には勤労学生という制度もありますので、必要に応じて利用するのもよいでしょう。但し勤労学生控除を申請すると、年収が103万円以上なら親の扶養から外れてしまうので注意が必要です。

今後、新しいアルバイトを始めたり、また掛け持ちをすることもあるかもしれません。年末調整の方法を理解し、税金の控除や制度を上手に利用しながら、アルバイトをしていきましょう。また年末調整の条件に該当しない場合でも、自分で確定申告をすれば問題ありません。

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